参考資料7
日本における国際的通用性の現状(概要)
1.日本が加盟している国際的エンジニアリング資格等1).APECエンジニア概要1995年のAPEC閣僚会議の決議に従い、2000年にAPECエンジニアの認定登録制度が合意され、政府間ベースのAPECエンジニアの枠組みが創設された。これは、実務経験等が一定レベル以上と認められる技術者に、APEC域内での共通の称号を与え、国際的な活躍を支援することを目的としている。各国・エコノミーはそれぞれ「モニタリング委員会」を設立し、登録の審査を行う。この審査を受け登録を受けるとAPECエンジニアとして名乗ることができる。要件1.定められた学歴条件を満たすこと2.IEAが標準として示す、「エンジニアとしての知識・能力(International Engineering Alliance competency profile for engineers)」に照らし、自己の判断で業務を遂行する能力があると認められること3.エンジニアリング課程終了後7年間以上の実務経験を有していること4.少なくとも2年間の重要なエンジニアリング業務の責任ある立場での経験を有していること5.継続的な専門能力開発を満足できるレベルで実施していること6.業務の履行に当り倫理的に行動すること7.プロフェッショナル・エンジニアとして行った活動及び決定に対し責任を持つこと登録部門11部門に分かれている。(日本の場合)また、日本の技術士は全ての技術部門(選択科目)が申請を行うことができる。(11部門とは、「Civil」「Structural」「Geotechnical」「Environmental」「Mechanical」「Electrical」「Industrial」「Mining」「Chemical」「Information」「Bio」※うち、「Structural」には技術士のみでなく一級建築士が含まれる。)審査APECエンジニアとして登録するためには、「APECエンジニアモニタリング員会」の審査を受ける必要があり、日本では日本技術士会の「APECエンジニア審査委員会」がその審査の一部を行っている。登録者数韓国
ニュージーランド
日本
オーストラリア
アメリカ
マレーシア
2,143
1,882
1,474
1,046
704
466
タイ
ロシア
フィリピン
台湾
香港
シンガポール
362
146
74
56
40
37
カナダ、インドネシアは報告なし。(2017年6月時点)
2).IPEA国際エンジニア(旧EMF国際エンジニア)概要「国際エンジニア協定(International Professional Engineer Agreement)」に加盟している各エコノミーの技術者団体の国際組織。加盟エコノミー間で合意された一定の基準を満たす技術者を各国において「国際エンジニア登録簿」に登録し、加盟エコノミー間において同等であるとみなされる。また、日本で上記に登録された技術士はIPEA国際エンジニア(IntPE(Jp))と名乗ることができる。APECエンジニアと異なり、エンジニア協会の合意により運用されているため、各国・エコノミーの政府は主体的には関わっていない。要件1)ワシントンアコード認定※1またはそれと同等のエンジニアリング課程を修了していること。2)~7)はAPECエンジニアと同様上記の要件中、基本的にはAPECエンジニアと同様であるが、1)に係る、エンジニアリング課程修了の判定は、加盟エコノミーによってはAPECエンジニアよりも厳格な運用がなされる可能性がある。※1エンジニアに関する教育認定制度。他の加盟団体が認定した技術者教育プログラムの修了者に対し、自国の認定機関が認定したプログラム修了者と同様な専門技術者の免許交付や登録上の特典を与えるという、技術者教育の実質的同等性に関する国際協定。登録部門APECエンジニアと異なり、登録にあたっての技術部門の区分はない。審査IPEA国際国際エンジニアの新規審査申請には、APECエンジニアの新規審査申請又は登録を前提としている。加盟国:15か国(暫定加盟3か国)インド、アイルランド、南アフリカ、スリランカ、イギリス、(上記と重複:オーストラリア、カナダ、台湾、香港、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、アメリカ)(暫定加盟:ロシア、バングラデシュ、パキスタン)登録者数韓国
ニュージーランド
オーストラリア
アメリカ
マレーシア
日本
2,143
1,882
1,046※
704
466
442
イギリス
アイルランド
インド
香港
台湾
南アメリカ
シンガポール
240
84
43
41
23
23
6
※APECエンジニア登録者はIPEA国際エンジニアも名乗ることができるため同数。
3).国際エンジニアリング連合(IEA, International Engineering Alliance)概要エンジニアリング教育認定の3協定(ワシントン協定、シドニー協定、ダブリン協定)※2と、エンジニア専門職資格認定の4枠組み(APECEA(APECエンジニア協定)、IPEA(国際エンジニア協定)、IETA(国際テクノロジスト協定)、AIET(国際テクニシャン協定)の加盟者で構成された連合組織で、高等教育機関における教育の質保証と国際的同等性の確保と、専門職資格の質の確保・国際流動化は同一線上のテーマであるとして、2001年に結成された。共通課題について議論を行い、個々の協定で採否を決定している。また、この議論の一環として、教育や専門職資格同等性確保の重要手段として検討され2009年の京都総会で採択された「Graduation Attributes(GA) and Professional Competency Profiles(PC)」は、ワシントン協定各加盟団体の認定基準の模範とされ、2019年までにこのGAを模範とした認定基準の改訂を行うことが義務付けられている。※2ワシントンアコードについては(※1)の通り。シドニーアコードはテクノロジストに関する教育認定制度、ダブリンアコードはテクニシャンに関する教育認定制度。 2.日豪協定APECエンジニア相互認証プロジェクトにおける初の相互免除協定として豪と協議を実施し、平成15年10月1日に技術士資格の相互認証を行う枠組み文書が両国間によって署名された。(この枠組み文書は法的拘束力を有さない。)日本が唯一締結している技術者相互認証の二国間協定である。
枠組み文書の概要・署名文書の当事者は、文部科学省、日本技術士会、オーストラリアエンジニア協会である。・各々の国においてAPECエンジニアに登録されている者を相互認証の対象となる技術者とする。・相互認証を行う技術部門はAPECエンジニアの技術分野で機械(Mechanical)、電気(Electrical)、化学(Chemical)を対象としている。※詳細は以下の表を参照。・一方の国のAPECエンジニアが他方の国(以下受入国という。)において技術者(技術士)として登録を受けるためには、受入国における1年間相当の実務経験を経る必要がある。・相互認証により受入国において技術者資格(技術士)を保有する場合であっても、入国審査及び査証に係る所要の手続きは必要。・両国は5年毎に必要に応じて本枠組みを見直す。【参考】APECエンジニアの登録分野と技術部門及び選択科目との対応関係(平成29年12月現在)
APECエンジニアの登録分野
対応する技術部門
対応する選択科目
Mechanical Engineering
船舶・海洋
船舶 舶用機器
航空・宇宙
機体システム航行援助施設 宇宙環境利用
繊維
繊維二次製品の製造及び評価
金属
鉄鋼生産システム非鉄生産システム金属材料 表面技術 金属加工
Electrical Engineering
情報工学
コンピュータ工学 情報システム・データ工学 情報ネットワーク
Chemical Engineering
化学
セラミックス及び無機化学製品 有機化学製品 燃料及び潤滑油 高分子製品 化学装置及び設備
繊維
紡糸、加工糸の方法及び設備 紡績及び製布 繊維加工
金属
鉄鋼生産システム非鉄生産システム
農業
農芸化学
3.他の国際的なエンジニアの枠組み等 1).Euro Engineer 概要国際的なエンジニアリング会社であり、設立は20年前で、雇用主のニーズで、エンジニアに仕事を紹介し、これをサポートする。主要な技術者は以下の12分野に属している。Aerospace, Automotive, Construction, Electrical Engineering, Electronics, Energy, Environment, Mechanical Engineering, Nuclear, Oil & Gas, Pharma, Railway Technology参加国ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、スイス 2).AER(ASEAN Engineer Register)概要ASEAN連合の工学組織(AFEO)は非政府組織で、ASEAN諸国の組織、団体が親善と相互理解の促進を目的に活動している。具体的な業務としては、ASEAN内で技術者の流動性を促進のためにASEAN基準を作成するとともに、ASEANエンジニア登録を行うことでエンジニアの移動を容易とし、ASEANの自由貿易地域を目指している。参加国フィリピン、タイ、マレーシア、ベトナム、ラオス、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ミャンマーお問合せ先
科学技術・学術政策局人材政策課